Alfa Romeo F1 Team C42マシン紹介


C42
サバイバルセル
サバイバルセルは、F1マシンの中核を成すものであり、現代のF1では、群を抜いて最も複雑な構造物と言えるだろう(訳註: サバイバルセルは、一般的な自動車の「シャシー」に相当する部分を指す。F1の場合、燃料タンクやコックピットなども含め、全てが一体型の構造となっており、安全性、衝撃耐久性といった面から、非常に複雑な構造となっている)。2022年モデルのF1マシンでは、史上最も安全なサバイバルセルを目指した開発が行われている。
サバイバルセルは、サンドイッチ構造のカーボン複合素材で製作されている。マシンの重量に対する剛性に優れ、その全体構造に非常に堅固な作りを与えている。また、サバイバルセルは、ドライバーのコックピットエリアも含み、エンジンとギアボックスを守るため、調整された方向と協調部分で、6ヶ所が留め具で固定されている。2020年にバーレーンで起こったハース(当時)のロマン・グロージャンの衝撃的な事故を受け、大クラッシュの際、燃料タンクがシャシーから取り外されるようにするなど、新たな安全基準が設けられている。
パワーユニットとギアボックス
ハイブリッド方式によるF1時代を迎え、メインのパワーユニットは、シングルターボチャージャーを備えた1.6L V6エンジンが搭載されている。サーキットのラップ中には、MGU-K(運動エネルギー回生システム)とMGU-H(排気熱エネルギー回生システム)という、2種類のエネルギー回生システムを使用してバッテリーを充電することが可能。この充電により、120kWの電気モーターを駆動させる。ギアボックスは、前進8段・後退1段で構成。
2022年からは規定により、使用する燃料の少なくとも10%がバイオエタノールであることが求められており、F1もサステナブルな環境を目指した競技に変化してきている。
タイヤ
2022年は、タイヤにとっても大きな変化の年となった。昨シーズンまでの13インチに代わり今シーズンを通して用意されるのは、新規開発されたピレリ社の薄型18インチタイヤ。この変更は、一般のドライバーが使用する自家用車のタイヤの開発データを得る上でも非常に重要な要素でもある。F1唯一の公認タイヤ供給メーカーであるピレリ社では、タイヤが大きくスライドした時のオーバーヒートを避けるため、新たな合成素材とタイヤ構造の研究が盛んに行われている。
スペック
項目 | 仕様 |
---|---|
サバイバル・セル | ATL製燃料タンクと組み合わされた、アルファ ロメオ F1チームのカーボンファイバー製・複合構造サバイバルセル |
セーフティ構造 | 貫通防止モノコック構造、衝撃吸収フロント・サイド・リア構造、主ロール構造(ロールフープ)、第二ロール構造(ハロ) |
コックピット | 特注のカーボンファイバー製コンポジットシートとサベルト製6点式セーフティハーネス |
フロント・サスペンション | カーボンファイバー製ダブルウィッシュボーン式フロントサスペンション、プッシュロッド式 内部搭載型トーションスプリング、ロッカー、オーリンズ製ダンパーユニット |
リア・サスペンション | カーボンファイバー製ダブルウィッシュボーン式リアサスペンション、プッシュロッド式 内部搭載型トーションスプリング、ロッカー、オーリンズ製ダンパーユニット |
ブレーキ | ブレンボ社製ブレーキキャリパー、カーボンファイバー製ディスク及びポッド、電動制御によるリアブレーキ |
ステアリング システム | カーボンファイバー製ラック&ピニオン式パワーステアリング |
エレクトロニクス | FIA標準ECUを用いたFIA公認電子制御システム |
パワーユニット | フェラーリ製 V6ハイブリッドターボシステム |
エネルギー回生システム | 電動モータージェネレーターユニットを介した、フェラーリ製ハイブリッドエネルギー回収システム |
ギアボックス | アルファ ロメオ F1チームによるカーボンファイバーのメインケースと、前進用8段・後退用1段にセットされたフェラーリ製カセット |
ギアセレクション | シーケンシャル、セミオートマチック |
クラッチ | カーボン複合素材 |
ホイール | BBS製18インチホイール |
タイヤ | ピレリ |
ディメンション&車両重量
項目 | 寸法/重量 |
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全長 | >5,500 mm |
全幅 | 2,000 mm |
全高 | 970 mm |
ホイールベース | ≤3,600 mm |
車重(ドライバーを含む最低重量) | 795kg |
フェラーリ製パワーユニット
項目 | 仕様 |
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形式 | V6 バンク角90度 |
排気量 | 1,600 cc |
ボア | 80 mm |
ストローク | 53 mm |
バルブ数 | シリンダーあたり4 |
ターボチャージャー | シングルタービン、コンプレッサー |
最大燃料流量 | 100 kg/h |
インジェクション | 500 bar/直噴式 |
フェラーリ製エネルギー回生システム
項目 | 仕様 |
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構造 | MGU-H(排気熱エネルギー回生システム)とMGU-K(運動エネルギー回生システム)による発電ユニットを介した、フェラーリ製ハイブリッドエネルギー回生システム |
蓄電池 | リチウムイオンバッテリー ≧20kg |
最大回生エネルギー量 | 4 MJ/周 |
MGU-K(運動エネルギー回生システム)最高出力 | 120 kW (161hp) |
MGU-K(運動エネルギー回生システム)最高RPM | 50,000 rpm |
MGU-H(排気熱エネルギー回生システム)最高RPM | 125,000 rpm |